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2001年の株式上場を期に商圏を関東にまで拡大。
その後も他店舗展開を積極的に推進、そのための最優先課題が販売管理システムの再構築だった。
トップの英断の奥にある、次代の勝ち組となるための鍵を探る。

携帯電話の販売代理店として東海地区トップの実績を誇る株式会社エスケーアイ。ソフトバンクなど単一の「キャリアショップ」と、すべてのキャリアを扱う「総合ショップ」の両チャネル展開で成長を遂げてきた。2001年にはジャスダック市場に上場を果たし、関東地区へも商圏を拡大。その躍進ぶりは飛ぶ鳥も落とす勢いだ。
急成長の秘密は、ずばり直営展開にある。他の多くの代理店が商社系のフランチャイズで情報の行き来にワンクッション生じるのに対し、エスケーアイはユーザーや端末メーカー、キャリアからの情報がダイレクトに入ってくる。「経営の舵取りのスピード感が違う」と、酒井昌也代表取締役社長は胸を張る。
とはいえ、右肩上がりの成長を続けてきた携帯電話市場も、国内の契約台数が9,000万台を超え頭打ちの状態。加えて、利用者が自分の番号を変えずにキャリアを変更できる「ナンバーポータビリティ制度」がついに解禁されるなど、業界全体を揺るがす新たな動きも次々に起きている。生き残りをかけた戦いは、まさにこれからが本番なのだ。
「キャリア、端末メーカー、販売代理店が三位一体となり、ローリスクでビジネスができた時代はもう終わり。これからは顧客の維持獲得のために、熾烈な価格&サービス競争が展開されることは必至です。しかし、そうした自由競争こそが市場の本来あるべき姿。我々もより大きなリスクを抱えることになるでしょうが、これで初めて本当のビジネスができるのではないかと楽しみにしています」。
店舗業務と財務管理をつなぐ販売管理システムは、店舗経営の生命線となる基幹システム。エスケーアイでは、5年前からこのシステムの抜本的な見直しに着手し、3年前に「新販売管理システム」を本稼働させた。ねらいは、厳しい競争に打ち勝つための強い経営体質づくりだ。
「わが社は6年前、株式上場を契機に販売ネットワークの拡充に乗りだしました。そのなかでネックとなったのが、従来の販売管理システムの限界です。小規模向けのパッケージだったこともあり、店舗や本部の業務に非常にムダやロスが多かったのです。すべての面での効率化、省力化を図り、支社や店舗との連携を強化するためには、避けて通れないミッションでした」。
トップの英断により、再構築された「新販売管理システム」。導入から3年を経て、商品管理部門の人員が40%削減でき、財務の月締め処理が格段に早まるなど、成果も目に見えて表れているという。
「トータルコストを低減できたことはもちろん、経営者としてはリアルタイムな情報を吸い上げられるようになったことが一番のメリットです。売上、仕入、在庫、粗利が日々把握できるようになったおかげで、商品の入れ換えや利益が見込める商品の確保など、以前よりスピード感を持って経営手腕が振るえるようになりました」。
「携帯電話市場は端末のライフサイクルが早い上に、サービスもますます多様化、高度化しています。ナンバーポータビリティ制度がスタートし、キャリアを自由に乗り換えられるようになった今、我々ディーラーの役目は、これまでの販売業務からコンサルティング業務へと大きく変わっていきます。お客さま一人ひとりに合ったキャリアやサービスプランをいかに提案できるかが、より一層重要になってくるでしょうね」。
酒井社長がめざすこれからの経営ビジョンは、従来のサービスの上をいくコンサルティング業務の確立。そのために、スタッフの商品知識や接客サービスのレベルアップを図るとともに、携帯プランナーという資格を独自で設けることも検討中だそうだ。さらには、有資格者にしか顧客情報が閲覧できないようにし、個人情報の保護を強化していきたいとも。時代を先取りしたそうしたサービス体制の整備においても、「新販売管理システム」はきっとその力を存分に発揮してくれるに違いない。
再構築のコンセプトは、スピード経営の実現&コスト削減。
問題点を洗い出し、現場に即した「生きたシステム」に。
次代へ向けたビジネス戦略として、直営販売ネットワークの拡充に力を注いでいるエスケーアイ。ジャスダック市場に上場した6年前には40店だった店舗数が、いまでは倍の80店舗にまで拡大している。その快進撃を陰でバックアップしているのが、3年前に本稼働した「新販売管理システム」だ。多店舗展開を進める上で必要不可欠なものとは何だったのか。プロジェクトのチームリーダーであった取締役管理本部長の田川正彦氏に、まずは新システムのねらいと特色をたずねた。
「新販売管理システムのコンセプトは、第一にスピード経営の実現です。この業界は非常にテンポが早いですから、わずかな決断の遅れが大きな損失を招くこともあります。経営上の指標となる各種データの集計を早期化することが最大の課題でした。第二にコストの削減です。従来のシステムは小規模店向けのパッケージだったため、店舗と本部で二重業務が発生したり、誤入力のチェック機能がないために修正の手間が増えたり、とにかく作業の無駄が多かったのです。業務・管理すべての面で省力化、効率化を図り、人件費はもちろん、トータルにコストを低減したいと考えました。店舗には、社員だけでなくパートやアルバイトの方もおります。誰でも短い期間でマスターできる、使いやすい仕組みづくりにとてもこだわりました」。
新システムの企画から導入までに要した月日は丸2年。プロジェクトに関わったメンバーは、システムグループ、各部署、店舗代表あわせてのべ20名以上にもおよぶ。「経営基盤となるシステムをゼロから作り上げていくのは、想像以上に険しい道のりでした」と、田川氏は2年越しのプロジェクトを振り返る。
「一番苦労したのは、プロジェクトの立ち上げ時に行った問題点と要望事項の洗いだしですね。システムの起点となる店舗の意見をいかに聞きだし、どれだけ言葉をシステムに置き換えられるかが鍵になりますから、週に何度か担当者を含めて機能別に打ち合わせを重ねました。また、システムはそれを扱う人間にマッチしていなければ意味がありませんので、核となる構造や機能だけでなく、いろいろな側面から現場の使いやすさに配慮しました。画面を使い慣れた旧来のものに似たデザインにしたり、100ページにわたる社員用のマニュアルを作成したり、通信速度を上げるためにネットワークをブロードバンド化したり…。システム本体のことと並行してそれらのことに目を向けるのは大変でしたが、そんな苦労を重ねたからこそ“生きたシステム”に仕上がったのだと思います」。
「基幹システムがこれだけスムーズに切り替えられたのは、過去の経験のなかでも初めてです」と、田川氏は上々の滑りだしに自負をのぞかせる。事前にテスト稼働期間を設け、全店長への研修を行うなど、万全な準備でのぞんだこともあり、新システムへの移行は驚くほどラクだったという。さらに、現場スタッフからの評判も上々。欲しい情報が早く見られるようになった、閉店が早くなったなど、うれしい反響がたくさん届いているそうだ。
「プロジェクトを成功に導くのは、やはり人間の力です。NECソフトウェア中部のスタッフのみなさんは、技術力はもちろん非常に業務理解力が高く、判断も早かったため、安心してお任せすることができました。新システムの満足度はずばり80点。残りの20点は、システムをもっとより良いものにしていくための期待度ですね」。
今後は、システムの操作性のさらなる向上に取り組むとともに、経営分析用データベースウェアハウスの作成にも着手していきたいと語る田川氏。強くしなやかなシステム基盤を武器に、エスケーアイの快進撃はまだまだ続きそうだ。