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住 所:三重県志摩市阿児町鵜方1257番地
電 話:(0599)43-0501(代表)
診療科目:内科、循環器科、外科、脳神経外科、小児科、産婦人科、整形外科、
皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、精神科、神経内科、放射線科
外来診察受付時間:8:00~11:30
休診日:土・日曜日、祝祭日、振替休日、12月29日~1月3日
三重県立志摩病院が位置する志摩市は、北に伊勢神宮の杜を、そして南に太平洋を望む、美しい緑と海に恵まれた観光リゾート地である。志摩市自体の人口は約60,000人だが、豊富な観光資源や保養施設を擁する志摩地域一帯にはシーズンともなるとたくさんの観光客が訪れる。三重県立志摩病院は、そんな志摩地域唯一の総合病院として、地域の人々はもとより、観光に訪れる人々への医療を提供してきた。一般病床数250床、精神科病床数100床。中規模だが地方の病院としては、精神科を伴った総合病院は珍しく、「このように精神疾患も全身疾患も診られる病院は三重県では他に三重大学だけ。東海北陸地域においても大学病院以外にはこの県立志摩病院とあとひとつぐらいでしょう。また検査と入院ができる二次救急に対応できるのも、この辺りでは当院だけです。この地域の医療を担う中核病院としてなくてはならない病院なのです」と吉村院長は語る。
他にも、365日24時間救急体制の提供、へき地医療の支援、救急医療や災害医療の提供と支援、そして、臨床研修の指定を受けている病院として医療従事者の育成など、三重県立志摩病院に求められている役割は多い。
そうした地域の期待に応え、より安全で安心な質の高い医療を提供していくために、吉村院長が掲げているのが「皆様の病院づくり」だ。それは、三重県立志摩病院で働く医師や看護師、スタッフはもちろん、患者、そして地域の医師会や、市、他の自治体など、全員参加で作っていく病院。「医療が高度化、集約化されていない志摩地域で大切なのは、普段の健康管理です。健康診断を通して予防や早期発見ができる体制を整え、病気を予防するためにはどうするか、万一、発症した場合はどう治療していくかを皆で一緒に考えていく。地域の皆様が常に自分の健康状態を認識し、コントロールできるようにするのが地域の病院の役割だと思っています」。
「予防から救急医療まで対応できる皆様の病院」を目指す吉村院長は、近隣地区や県内地域の医療関連施設が一丸となって地域医療をおこなっていくべきだと考えている。そのためにはカルテなど、医療データを共有していく必要がある。当然、医療情報システムは欠かせないツールとなる。
平成19年9月、三重県立志摩病院では外来診療棟の建て替えを機に、カルテの電子化を含むオーダリングシステムや医療事務システム、看護支援システム、検査システムを導入。地域連携医療のさらなる確立に向け大きく踏み出した。「地域の皆様への医療や看護のサービス向上のためには、地域連携は非常に重要。それを実現させるための基礎固めとして、今回、医療情報システムをどうしても入れたかった」と吉村院長。
カルテ、処方箋、検査オーダーなどが手書きだった頃に比べ、システム導入後は仕事の効率も、正確さも飛躍的に改善されたと、院長は評価する。しかし、決して満足しているわけではないという。「今後はデータを一元化し、患者様の病状や治療プロセス、その後のケアなどの様々な情報を瞬時に見られ、瞬時に反映できるようにしたい。そうなれば患者様本人の健康管理だけでなく、同じ症状の他の患者様の治療にも役立たせることができます。医療面でも経営面でもプラスになる。もちろん、データのやりとりができれば地域連携もスムーズです」。
地域医療の崩壊がさけばれる中、志摩地域も決してその例外ではない。医療情報システム導入が、三重県立志摩病院の目指す、地域連携医療の未来を切り拓く一歩になったことは間違いないだろう。
外来診療棟の建て替え計画と共にスタートした情報化プロジェクト。
将来的には地域連携医療を支える礎に。
外来診療棟の建て替えが大きな契機となり、それまで業者に委託していた医療事務システムの刷新と、電子カルテを含むオーダリングシステムや看護支援システム、検査システムの新たな導入を決めた三重県立志摩病院。当初からシステム導入に奔走した栗原重弥・情報企画室長に、一連のプロジェクトを振り返っていただいた。
「最初に電子カルテ・オーダリングシステム導入の話が出たのが平成16年。ちょうど新外来診療棟の基本設計が始まった頃でした。システムが導入される前は、オーダーはすべて手書きでしたので、転記作業に時間が費やされるなど、本来の業務に専念できない状況があったり、患者様の待ち時間が長くなったりと、問題点がありました。それを改善するためになんとしても医療情報の電子化を進めなければという思いでした」。とはいえ、コンピュータに関しての素地は全くなかったという栗原室長にとって、「どのような道筋でプロジェクトを進めていけば良いのか?」というのが、まずは大きな難関だった。そこで、各部門からの代表者を集め、意志決定機関である「情報化推進委員会」を平成16年春に結成。労を惜しまず議論を重ねて、一歩一歩着実に前進していった。「いま思えば、情報化推進委員会を立ち上げたことで、院内の意見が集約でき、プロジェクトのスムーズな進行を導くことができたと思います」。
「正直、最初は医療情報システムがどういうものかもよくわからなかった」と苦笑する栗原室長だが、実際には職員もよくわかっていない状況だったという。「職員にシステムを理解してもらうため、平成16年5月頃にセミナーを開きました。あとはすでに導入されていた病院のベンチマーキングを行ったり、デモンストレーションを実施したりと、最初の一年は電子カルテやオーダリングシステムがどのようなものかを知ってもらう環境づくりを行いました」。
職員全員が徐々にシステムに対して理解を深めていったという。「平成18年度にはベンダーを選定しなければなりませんでした。そのためには平成17年度中に仕様書を作成しなければならない。しかし、その頃になると各部門から「あのシステムを入れたい、これをやりたい」といろいろな要望が出されるようになりました。システム導入で職場をより良くしたいという職員たちの気持ちが盛り上がってきたのです。しかしながら、あれもこれも全ての要望を聞いていては予算もパンクします。各部門の代表者で構成された情報化推進委員会も、この時ばかりは意見がまとまらず、行き詰まってしまいました」。途方に暮れた栗原室長だったが、今度は吉村院長を長とするシステムに詳しい5人のメンバーを集め「専門部会」を発足。予算の範囲内で納まるプランで、システム導入の基本方針を作った。「それでも意見集約には困難を極めました。そこで長期的な計画を示し今回は無理でも次には、ということで納得してもらうことができました」。
手探りからのプロジェクトスタート、そして仕様書の完成には様々な苦労を要したが、平成18年7月には各ベンダーから仕様書の提案を受け、プレゼンによる総合評価点方式により選定した結果、NECソフトウェア中部への発注を決めた。
「NECは全国的な導入実績もあり、総合的にまとまっていました。そして、お仕着せのパッケージシステムではなく、当院に適合するものを一緒に作り上げていきましょう!という誠実さを感じました。実際、本当は院内で決めなければならないことも私たちと同じ立場に立って、他の病院の事例を引き合いに出しながら現場に説明してくれたり、提案していただいたりと非常に助かりました。ワーキンググループから各部門間のちょっとした調整などにも同席してもらったり、一緒に作り上げていこうとする姿勢がありがたかったですね」。
また、システム導入にあたっては、様々な要望もあった。「最初はやりたいことが凄くたくさんあって…。でもまずは基幹システムだけにしようということになりました。最後まで電子カルテを導入するかどうかが議論になりましたが、一緒に導入する方がメリットが大きいとのNECソフトウェア中部のアドバイスもあり、電子カルテの同時スタートに踏み切りました。正解だったと思います」。
「本番稼動前のリハーサルは、大変でした」と語るのは、平成19年4月の「情報企画室」設置と共に情報部門の担当となった中井正幸主査。平成19年9月の本番を前にリハーサルを3回行ったが、「大丈夫か?」と感じる場面があった。「外来棟の建設と同時進行だったため、本番と同じ環境でリハーサルは行えなかった。ところが、いざ本番になってみると、皆が危機意識を持って臨んだせいか、大きな問題もなくスムーズだった。これは職員一人ひとりの努力、そしてキーパーソンになって働きかけていただいた先生や看護師のおかげ。もちろんNECのサポートにも感謝しています」。
システム導入後の成果も徐々に現れて来ている。「以前は、待ち時間がもう少し短くならないかといった患者様からの声もありましたが、最近はそれがない。確実に良くなってきている証拠」と、栗原室長も中井主査も口を揃える。「先生方からは提案や要望をたくさんいただいています。今後はそれらの声に応えるべく、さらにオーダリングの範囲を広げていきたいですね。また、近い将来、カルテの共有化など、地域連携システムを確立できたら、と思います」。
三重県立志摩病院ではシステムの導入によって、病院全体のモチベーションを高めることになったと言ってもよいだろう。医療と地域の未来を拓く医療情報システムの可能性は無限にひろがる。
業務の効率化により、
看護の質の向上を目指す。
システム導入の成功には、そのシステムを実際に利用する医師、看護師、そして各部門スタッフ一人ひとりの尽力によるところも大きい。しかし、今回の一連の医療情報システム導入で、最も大きな変化と努力を強いられたといえるのが看護師業務ではないだろうか。
三重県立志摩病院に勤務する200人近い看護師をまとめる大辻次長は、「すでに医療機器はコンピュータ化されているものも多く、医療情報の電子化には、皆それほど抵抗はなかったのでは」と語る。「中には、自宅にパソコンを持っていない人もいましたが、それは全体の約1割。でも正直、年齢層にも幅があり、平均年齢41歳という中で、はたして使いこなせていけるのか、という心配もありました。もしかしたら辞める人も出てくるのでは、と覚悟もしましたが杞憂に終わりましたね(笑)」。
操作研修が数時間しか取れなかったことにも不安を感じていた大辻次長だが、看護師一人ひとりの努力によって、思いのほか本番稼働はスムーズだった。
これまでの慣れたシステムを変えることは抵抗や不安を伴う。しかし、その反面、期待も大きかったという。「看護師は患者様一人ひとりに対して看護計画を立て実践・評価し、計画の修正をします。システム導入による標準看護計画のマスタ化で看護計画の立案が簡単にでき、患者様と共有することで個別性を活かした看護介入が容易になります。患者様の個別性が活かされた計画・実践は、質の高い看護を提供できると期待しています」。
実際、導入後は看護師の方からの評判も上々だそうだ。「カルテが電子化されたことによって、ドクターからの指示もわかりやすく、非常にコンパクトにまとめられるようになって、読み間違いや見落とし等の心配もなく安心してカルテが見られます。また、伝票類も整理されているので業務の省力化・効率化が図られ、患者様のベッドサイドにいく時間が多くなりました。ベッドサイドで患者様と一緒に看護計画を立てられるというケアが実現し、とても充実しました」。
だが、利用して見えてきた課題もいくつかあるという。「オーダリングシステムのMI・RA・Isと看護支援システムの連動を考えた時に、無駄なもの、足らないものが出てきたので、今後整理をしていきたいと思います。格段に便利になったことは事実で、それは良いことです。便利さが気のゆるみに繋がらないようより一層の指導を心掛けたいと強く感じています。そして近い将来、地域の開業医とのネットワークを作り、いろいろな面で地域の患者様の支援ができるシステムが構築されればいいなと思います」。
患者様へのサービスを第一に考える大辻次長の心の看護計画図には、すでに地域連携医療を見据えたシステム活用の夢が描かれている。